葬儀を執り行った後には様々な手続きがありますよね。
その中でも意外と忘れがちなのが葬儀の補助金制度です。
これは健康保険の加入者やその扶養家族が亡くなった時に支給される補助金ですが、入っている保険によって申請方法や金額は違います。
また申請しないと給付されないので、忘れずに申請しなくてはなりません。
ではあなたの入っている保険ではどういった補助金が貰えるのか、団体別に解説していきましょう。
目次
葬儀の補助金にはどんな種類があるの?葬祭費・埋葬費とは?
葬儀の補助金には加入している保険によって様々な種類があり、誰が亡くなったのか?誰が申請するのか?などによって呼び方がそれぞれ違います。
ちょっとややこしいですが、基本的には全て保険の加入者が死亡した際に支給される補助金です。
葬祭費
国民健康保険(後期高齢者医療制度)に加入している場合に適用されます。
被保険者や扶養家族が亡くなった場合に、原則として葬儀を行った人に対して支給されます。
その他生活保護受給者の葬儀に際して支給されるのも「葬祭費」です
保護を受けている方が亡くなった場合は、誰が葬祭を執り行うかによって葬祭扶助が受けられるかどうかが決まります。
親族(生活保護を受けていない人)が葬祭を執り行う場合は、その親族が全ての費用を負担する事になりますが、費用負担が大きく実際に葬祭を引き受けてくれる親族は少ない様です。
親族が誰も葬祭を引き受けなかった場合に、生活保護の葬祭扶助が適用され、喪主を通さず直接葬儀社に葬祭費が支払われます。
葬祭料・家族葬祭料
船員保険に加入している場合に適用されます。
被保険者が亡くなった場合は被保険者によって生計を維持されていて実際に葬儀を行った人に対して、いない場合には実際に葬祭を行った人に対して支給されるのが「葬祭料」
扶養家族が亡くなった場合に被保険者に対して支給されるのは「家族葬祭料」です。
埋葬料・埋葬費・家族埋葬料
社会保険(組合健保・協会けんぽ)や共済組合(国家公務員)に加入している場合に適用されます。
被保険者が亡くなった場合は被保険者によって生計を維持されたていた家族に支給されるのは「埋葬料」
扶養家族など埋葬料の申請を出来る人がいない場合、実際に埋葬を行った人に支給されるのが「埋葬費」
扶養家族が亡くなった場合に被保険者に支給されるのは「家族埋葬料」です。
また、各保険によっては「埋葬料付加金」や「家族埋葬料付加金」といって、埋葬料の他に付加金が貰えるところもありますが、金額は会社によって違います。
加入者が業務上の事故が原因で亡くなった場合にも労災保険から「埋葬料」、通勤災害の場合は「葬祭給付」が受けられます。
葬祭を行う遺族がおらず会社が葬祭を行った場合は会社に対して支給されます。
葬儀の補助金を貰うには?申請方法から給付金支給までの流れを健保など6団体で徹底解説!
葬儀の補助金を貰う為には各保険の事務所や市区町村に申請する必要があります。
気をつけなければいけないのは、これらは全て申告制です。
申請期間が設けてあるので急ぐ必要はありませんが、忘れてしまうと給付は受けられないので忘れずに申告するようにしましょう。
それでは申請方法から支給までの流れや申請方法を団体別に解説していきます。
国民健康保険(後期高齢者医療制度)
加入者は自営業者や農業・漁業などに従事されている方と家族、パート・アルバイトで会社の社会保険に加入していない方、退職などで職場の健康保険をやめた方とその家族です。
申請先:被保険者の住所地の市役所の国民健康保険課
流れ:死亡→葬儀→申請→給付
支給額:1~7万(自治体によって異なります)
支給までの期間:申請してから約2週間~1ヶ月
申請期間:葬儀を行った翌日から2年以内
必要なもの
葬祭費支給申請書(役場のHPからダウンロードもしくは窓口で貰えます)
国民健康保険証
故人のマイナンバーカードか通知カード
申請者の身分証明書(運転免許証etc.)
葬儀の領収書(ない場合は会葬礼状などの喪主が確認出来るもの)
印鑑(認印は不可)
振込先通帳
社会保険(組合健保・協会けんぽ)
社会保険には全国健康保険協会という団体が運営する「協会けんぽ」、大企業が自社で健保組合を設立・運営する「組合健保」の2種類があります。
手続きを会社が代行してくれる場合もありますので確認しておきましょう。
申請先:健康保険組合または社会保険事務所(郵送でも可)
流れ:死亡→葬儀→申請→給付
支給額:埋葬料・家族埋葬料:5万円・埋葬費:5万円以内で実際かかった費用
支給までの期間:申請してから約2週間~1ヶ月
申請期間:死亡日の翌日から2年以内
必要なもの
健康保険埋葬料(埋葬費)支給申請書(HPからダウンロード可能)
健康保険証
申請者の身分証明書(運転免許証etc.)
葬儀の領収書(被扶養者でない者が申請する場合)
振込先口座のわかるもの
印鑑(認印は不可)
埋葬許可証または死亡診断書の写し(健康保険埋葬料(埋葬費)支給申請書に事業主の証明が受けられない場合)
負傷原因届(亡くなった原因が負傷による場合)
健康保険埋葬料(埋葬費)支給申請書(HPからダウンロード可能)
健康保険証
申請者の身分証明書(運転免許証etc.)
葬儀の領収書(被扶養者でない者が申請する場合)
振込先口座のわかるもの
印鑑(認印は不可)
埋葬許可証または死亡診断書の写し(健康保険埋葬料(埋葬費)支給申請書に事業主の証明が受けられない場合)
負傷原因届(亡くなった原因が負傷による場合)
共済組合
共済組合とは公務員や私立学校教職員を対象とした社会保険組合です。
申請先:被保険者の住所地の市役所の国民健康保険課
流れ:死亡→葬儀→申請→給付
支給額:一律5万円(付加金は組合によって異なります)
支給までの期間:申請してから約2週間~1ヶ月
申請期間:葬儀から2年以内
必要なもの
埋葬料請求書
埋葬許可証または火葬許可証の写し
葬儀の領収書(扶養家族でない者が申請する場合)
振込先口座のわかるもの
印鑑
埋葬料請求書
埋葬許可証または火葬許可証の写し
葬儀の領収書(扶養家族でない者が申請する場合)
振込先口座のわかるもの
印鑑
船員保険
船員は普通のサラリーマンと比べると病気や怪我のリスクが高い為、そういった事を考慮して他の健康保険と比べると付加給付などの金額は高いようです。
申請先:全国健康保険協会船員保険部
流れ:死亡→葬儀→申請→給付
支給額:一律5万円
支給までの期間:申請してから約2週間~1ヶ月
申請期間:葬儀から2年以内
必要なもの
船員保険葬祭料(家族葬祭料)請求書
船員保険証
死亡診断書の写し
振込先口座のわかるもの
印鑑
船員保険葬祭料(家族葬祭料)請求書
船員保険証
死亡診断書の写し
振込先口座のわかるもの
印鑑
労災保険
労災保険は仕事中に怪我や死亡などの事由があった時に給付されるものですが、自分で入る入らないを決められるものではありません。
正社員やパート・アルバイトの雇用形態に関係なく、会社からお給料を貰っている人は労災保険の給付が受けられます。
万が一会社が労災保険に加入していなかったら、遡って会社が保険料を支払ってでも労働者に給付される。
また健康保険に加入していても、仕事中や通勤中に事故や災害に遭って死亡した場合は健康保険ではなく労災保険からの給付になります。
申請先:故人の勤務先を所轄する労働基準監督署
流れ:死亡→葬儀→申請→給付
支給額:315,000円+給付基礎日額(平均賃金)の30日分もしくは、給付基礎日額の60日分のどちらか高い方
支給までの期間:申請してから約2週間~1ヶ月
申請期間:葬儀から2年以内
必要なもの
埋葬料請求書
死亡診断書の写し
埋葬料請求書
死亡診断書の写し
生活保護受給者
生活保護受給者の葬祭扶助を受ける場合は、葬儀の前に申請しなければなりません。
ちなみに葬儀と言っても通常の通夜・葬儀は行わず火葬のみを行います。
火葬が終わった後から申請しても葬祭扶助の対象にはなりませんので気をつけましょう。
葬儀社が手続きを代行してくれる場合もありますので確認が必要です。
申請先:原則申請者の住民票がある自治体の福祉事務所
流れ:死亡→申請→火葬→葬儀社から福祉事務所等に請求→葬儀社に支払い
支給額:大人 201,000円以内・子供 168,000円以内
申請期間:葬儀を行う前に申請する事
必要なもの
葬祭扶助申請書
死亡診断書
葬祭扶助申請書
死亡診断書
以上6団体の葬儀補助金について説明しました。
家族が亡くなると様々な手続きで、葬儀が終わった後もしばらくは落ち着かないと思います。
親切な葬儀社なら葬儀の後も色々な相談に乗ってくれたり、しなければいけない事をリストにしてくれたりしてくれます。
また補助金以外にも高額医療費の請求や遺族年金の手続きと何かしらお金が戻ってくる事もあります。
葬祭費は葬儀代を全て賄えるわけではありませんが、せっかく貰えるものはしっかり貰っておきましょう。