介護保険認定調査員にいだく私の印象は、ちょっと怖い感じです。
とても大きい権限と責任で仕切っていると本気で思っています。
この先入観は果たして正解でしょうか。インターネットで調べてみました。
すると介護保険の現場での、調査員の実情がわかってきました。
その結果、理解が深まり調査員との距離は縮まってきた感じです。
介護保険認定調査員の位置づけ
個人的な印象はともあれ、まずは介護保険制度で介護保険認定調査員がどのような役割を担っているかをまとめてみたいと思います。
そもそも介護保険認定調査員とは下記のサイトの説明にあるように、「要介護認定の度合いを判定する為に一次判定として申請者の自宅を訪ね、厚生労働省の定めた要介護認定調査票を基に、申請者がどれくらい介護を必要とする心身状態なのかを調査する職員」のことです。
「介護保険認定調査員とは」(介護保険がよくわかるページ)
だいじなことは「一次判定」のときの調査員であることです。
「ニ次判定」には登場しません。というより調査員が調査した内容を、介護認定審査会が行う「ニ次判定」につないでいます。
ということで、介護保険認定調査員の役割がだんだんわかってきました。
厚生労働省の「認定調査員テキスト2009改訂版(平成27年4月改訂)」の項目「5. 要介護認定に関わる人々のそれぞれの役割」(P4)には、「申請者の状況を極力正確に介護認定審査会委員に伝達すべく、調査票や意見書をまとめる」ことと書かれています。
「認定調査員テキスト2009改訂版(平成27年4月改訂)」(厚生労働省)
介護保険認定調査員の実情
私はこれまで、介護保険認定調査員はケアマネジャーが兼業でやるものだと勘違いしていました。
さすがに自分の担当している家には認定調査はしませんが、重複しないように他の家を回ると思っていました。
あるいは、そのように聞いたことがあると錯覚していました。
とにかくいわゆる福祉業界は、そういうところと先入観がありました。
調べてみてわかったことですが、実際は違います。ケアマネジャーもやることはありますが、まず介護や医療に係わる有資格者というのが条件です。
つぎの条件として研修を受ける必要があります。
地方自治体により状況は異なりますが、下記のサイトに情報が掲載されていますので、参考までに紹介します。
「介護保険の認定調査員になるためにはどういう研修を何日受ける必要があるの」(教えて!Goo)
さて、このようにしてなった介護保険認定調査員には、どの程度の責任があるのか気になります。
なぜなら、要介護者とその家族に直接会っているのは調査員で、クレームを受けて恨まれることがあるのではと心配しているからです。
たとえ厚生労働省によって定められた方法で公平に調査を行っているにしても、これでは調査員のなり手がいなくなるというものです。
ふたたび調べてみました。
その答えとしては、心配なさそうです。
というのも、さきに引用した厚生労働省の「認定調査員テキスト2009改訂版(平成27年4月改訂)」には、「認定調査については、認定調査員が一次判定のすべての責任を負うということではない。申請者の状態は様々であり、その状況を 74 項目の基本調査だけで正確に伝達することは容易ではない」とあります。
繰り返しになりますが、だからこそ介護認定審査会が行う「ニ次判定」によって、「総合的に判断し、一次判定を修正・確定し、必要に応じて一次判定の変更を行う」ようになっているのです。
つまり介護認定審査会に最終的に責任があると考えられます。
介護認定の調査員に応対するポイント
そうは言っても、介護保険認定調査員には果たすべき職務がしっかりとあると思います。
現場での不具合状況をきっちりヒアリングして、介護認定審査会に伝える大切な役割があります。
そのため要介護者や家族は、介護保険認定調査員に対してまずは誠意をもった応対をすることがもとめられていると私は考えています。
誇大妄想ではなく、必要なサービスを含めて、現場のありのまま姿、心身の状態を調査員に理解してもらうことに集中すべきです。
情報は隠さないで出し切って、すっきりとすべきです。
理屈ではこのようなことですが、実際はものすごく大変です。
それまでの家族の時間が途切れて、介護という初体験のことばかり続いて緊張していますから、理想かもしれません。
それでも認定調査の結果が予想を反して芳しくない場合でも、けっして介護保険認定調査員を恨まないようにしたいものです。
確かに、不服申立てによる再申請を申込む道は残されています。
ただ厳しいようですが、事実を伝えられなかった自分自身の方に落ち度がなかったかを反省した方がいいように思います。
あるいは、要介護者とその家族自身の大変さの認識と、第三者からみた認識との間に開きがあることも考えられます。
しかるべき専門家の方にでも相談してみてはいかがでしょうか。
最後になりますが、介護認定審査会に伝えられる情報は、介護保険認定調査員の調査結果だけではありません。
主治医の意見書も同時に提出されます。
このことが意味することは、たとえ介護保険認定調査員による調査を運よくごまかせたとしても、主治医の意見書でウソがばれてしまうということです。
制度としては当たり前のことですが、なかなかうまくできています。
くどいようですが、やはり調査員には誠意をもって応対すべきでしょう。