介護業界はきつい、汚い、危険の3つのKであると言われています。
利用者の移動補助などによる重労働。
排泄物の処理。
病気の感染のリスク。
様々な要因で介護業界は辛いと言うイメージが定着しています。
今回はそのようなイメージが真実なのか、実態について介護施設の日々の業務を見ながら調査していきましょう。
目次
「介護施設の仕事の実態はブラックなのか」
先ず介護業界の実態を見ていくにあたって、業務内容を確認していきましょう。
今回見ていく介護施設は利用者が生活する老人ホームの業務内容です。
介護業界は4交代制で仕事をしている場合が多いです。
朝7時頃から夕方16時頃までケアをする早番。
少し遅めの9時過ぎから18時頃までを担当する日勤。
11時頃から20時ごろまでを担当し、利用者の夕飯のケアなどを行う遅番。
そして夕方18時ごろから翌朝までのケアを担当する夜勤です。
特に夜勤の勤務をシフト制で行うことに辛さを感じる人が多く、過酷な業務を夜通し担当しなくてはいけません。
それでは業務の実態を見ていきましょう。
「朝や夜に就寝準備や起床準備の手伝い」
まず最初に紹介するのは早番や遅番で勤務している人たちが担当する、離床介護や就寝介護です。
これらの業務は利用者の起床や就寝の手伝いをすることを指します。
早く起きた利用者から順番に、服を着る手伝いや歯磨きなどを手伝うのです。
まだ起きてこない人には声をかけます。
また自分でベッドから移動できない人には離床介護が必要です。
車いすからベッドへ、ベッドから車いすへと言った移動も必要です。
介助者が利用者を抱きかかえて移動させます。
特にこの移動が介護において大変な仕事で、慣れないうちは腰を痛めてしまうのです。
腰を痛めやすい業務を一日に何回も行うため、移動のための技術をしっかりと身に着ける必要があります。
夜勤明けの人は一日の業務の最後に起床介護をする必要があるため、体力的にも過酷であると言えるでしょう。
「1日一回の風呂、入浴介助」
入浴介助は職員が入浴の手伝いをする業務になります。
転倒などの危険がないように見守ってくれるため、利用者だけでなく家族にとっても安心できるサービスになっています。
ですがその実態はかなり過酷です。
自立して入浴できる人も多いです。
ですが介助が必要な人には服を脱がし、体を洗い、リフトに乗せて、風呂に入れて、服を着せるという作業が必要になります。
入浴介助は一日2回あり、身体に触れている時間が長く、すべての利用者が素直に入浴してくれるわけではないため、職員にはストレスがかかります。
認知症の人に「服を脱いで」と言ってもわからず、服の着せ替えから全てやることになったと言うケースも多いです。
「利用者に合った食事の手助け、食事準備、介助」
介護施設においての食事は利用者の噛む力などに応じて種類分けされています。
食べ物を小さく刻んで食べやすくしたきざみ食。
よく煮込まれ、舌でつぶせるほど柔らかくなっているソフト食。
誤飲を防ぐために液状になっているミキサー食などです。
これらの食事を人によって間違いなく配膳し、自力で食べられない人には口元に運ばなくてはいけません。
食べられない利用者や、食べるペースの遅い利用者について食事介助をすることが理想です。
施設の中には時間がないからと言って利用者に無理に食べさせることもあるようです。
実際介護を体験した私も、その時の気分によって食べたり、食べなかったりする利用者に出会いました。
実際に接して時間がない事実や、どうしても苛立ってしまうと言うこともわかりました。
人手や時間がないがゆえに強引な方法をとる、というのも職員にとってつらい現実なのかもしれません。
「適宜必要な排泄介助」
介護においてデリケートな問題と言われるのが排せつ介助です。
問題なくできていた排泄を他の人に介助してもらう、と言うことは利用者にとってショックな出来事です。
そのため高齢者の自尊心を守りながら介助をすることが必要になるのです。
排せつ介助ではその人のペースがあるため、トイレに入って衣服を下してから、いったん外に出て待つことが大切になります。
排せつが完了したら、排泄物や皮膚の状態を素早く確認しお尻を拭いて服を上げます。
排泄物を見たり、お尻を拭くなどの業務もまた必要ですが抵抗のある仕事でしょう。
更に排泄は利用者自身のペースが大切になるので時間もかかり、順番に行うわけにもいきません。
排泄と言うデリケートな問題を扱う以上、職員も気を使って仕事をしていく必要があります。
「介護の仕事における深夜勤務は特に過酷」
特に介護の仕事における夜勤は過酷な労働です。
深夜は利用者も寝ており、一見すれば仕事がないように思います。
ですがなかなか眠れない利用者や、夜に徘徊する利用者がナースコールを押し、職員を呼び出します。
他にも巡回や排せつのケア、体位交換などの仕事も必要です。
更に夜には職員の数も減り、120人の入居者をたった5人で担当する施設もあるそうです。
特別養護老人ホームでは夜に看護師や医師の配置が義務付けられていません。
そのため介護スタッフが急変した利用者に対応しなくてはならないのです。
利用者の命を預かっていると言う精神的な負担と、少ないスタッフで多くの利用者を担当する肉体的な負担。
その両方がかかってくる過酷な業務なのです。
「介護の仕事の実態は夜勤ばかりできついだけなのか?」
介護の仕事は上記の業務を並行して行う必要があります。
ですが、過酷な仕事の中にも、いくつかメリットがあります。
まず大きな施設であると休みが取りやすいこと。
また、同じ介護職ならば転職しやすいとも言われています。
資格をとることでキャリアアップできる、という明確なステップアップの方法があるのも介護職特有です。
仕事のやりがいとして、利用者と信頼関係を築けることが挙げられます。
気難しい利用者が、自分を気に入ってくれた。
認知症の利用者が、腰を痛めた職員のことを気遣ってくれた。
毎日接することで高齢者の経験を聞いたり、イベントごとを一緒に楽しむこともできます。
辛いと言われている介護の仕事ですが、「辛い」と一言では片づけられない感動や喜びもある仕事なのです。
「介護の仕事も支援が必要」
辛いと一言で片づけられない介護の仕事の実態。
ですがその業務内容は過酷で、認知症の人や介助が必要な高齢者との日々に辞めていく人も絶えません。
それゆえに介護職は人材流出が激しく、離職も多いと言われています。
彼らが安定して介護に従事するためには、給与を上げるなどして職員の待遇を改善することや、職員の数を増やすことが大切です。
介護業界の職員たちを守るためにも、待遇が改善されることを願ってやみません。
そのためには、あなた自身も資格を取るなどしてステップしていく必要があると言えます。
介護業界で働く第一歩として、まずは介護派遣会社を利用してみてはいかがでしょうか。
資格取得サポートや専任のアドバイザーもつくので、はじめてでも働きやすくおすすめです。
参考記事:介護派遣会社ランキングTOP5!各社の特徴とおすすめはどこ?