老人ホームでは介護士だけでなく、看護師も働いています。



しかし、入居者の生活の場である老人ホームでは、病院と違い治療を行いません



そのため、老人ホームの看護師にはどんな役割があるのか、どのような仕事をしているのか気になる人も多いのではないでしょうか。



そこで今回は、老人ホームにおける看護師の役割や仕事を紹介します。



 



老人ホームの看護師にはさまざまな役割がある







老人ホームの看護師には、次のような3つの役割があります。



医療専門職として入居者の健康面を支える役割




老人ホームでは病院のように治療を行わないため、高度な医療行為を行うことはありません。



そのため、入居者が毎日元気で過ごすための健康チェックや、その都度必要な医療行為を行います。



つまり、老人ホームの看護師には、医療面から入居者の健康面を支える役割があると言えるでしょう。



介護職とともに入居者の生活を支える役割




老人ホームでは、看護師も介護士と同じように食事や排泄、入浴などの介助を行うことがあります。



また、入居者のちょっとした異変を感じ取るためにも、高齢者とのコミュニケ―ションは欠かせません。



このように、老人ホームでは看護師は介護士的役割も持っていると言えるでしょう。



急変時に指揮をとり冷静に対応するリーダー的役割




介護老人保健施設以外の老人ホームには、医師が常駐していません。



そのため、入居者に何らかの異変があった時には、看護師が指揮をとって対応する必要があります。



状況を冷静に判断し適正な対応をするという役割が、老人ホームの看護師には与えられているのです。



 



老人ホームでの看護師の仕事は







それでは、老人ホームの看護師が実際に行っている仕事内容を見ていきましょう。



老人ホームでの看護師の仕事は大きく分けると、「日々の健康管理」「介護士への指導」「急変時の対応」の3種類です。



日々の健康管理




日々の健康管理では、次のようなことを行います。



・毎日のバイタルサイン測定
・内服薬の管理や投与
・経管栄養の管理
・痰の吸引
・褥瘡や皮膚疾患などの処置
・排便コントロールのための浣腸や摘便
・湿布薬の貼付



このうち、毎日のバイタルサインや内服薬の投与は介護士も行うことができます。



私も老人ホームで働いた時には、体温や血圧の測定を行っていましたし、毎食後には薬を飲む介助も行っていました。



介護士への指導




看護師の仕事のうち、経管栄養の管理と痰の吸引については、研修を受けた介護士でも行うことができます。



介護士が行う場合の指導は、老人ホームの看護師が行います。



私の働いていた老人ホームでも、看護師の指導のもと介護士による痰の吸引や経験栄養の管理が行われていました。



急変時の対応




医師が常駐していない老人ホームでは、入居者が何らかの理由で急変した場合、看護師が冷静に状況を分析して対応策を講じなくてはいけません。



急変時には一人で対応できないので、看護師が指揮をとり適切な処置を行う必要があります。



例えば、連携している病院に連れていくべきか、それとも救急車を呼ぶべきか、といった判断も看護師にゆだねられます。



老人ホームの看護師にはどんな人が向いている?







病院勤務が向いている看護師が、老人ホームの看護師に向いているとは限りません。



老人ホームの看護師に向いているのは、主に次のような人です。



老人看護に興味があり高齢者とじっくり関わりたい人




老人ホームの入居者は65歳以上の高齢者ですので、老人看護の知識がある人や興味がある看護師が向いています。



また、老人ホームは「終の棲家」として入居している人も多いため、病院のように短期間に入れ替わるような事はありません。



ですから、一人ひとりの入居者にじっくりと関わりながら信頼関係を築くことができます。



1人の人生に深く長く関わりたい人には、老人ホームの看護師の仕事は向いていると言えるでしょう。



在宅看護やターミナルケアに興味がある人




老人ホームは生活の場ですので、そこで行われる看護は在宅看護の領域となります。



また、老人ホームで最期の時を迎える人もいます。



そのため、在宅看護やターミナルケアに興味がある人にとっては、学ぶことの多い職場となるでしょう。



介護士と上手にコミュニケーションが取れる人




老人ホームで入居者の生活を日々支えているのは、ホームで働く介護士です。



介護士は入居者の様子を毎日一番近くで見ているため、小さな異変に気が付きます。



私が老人ホームで働いていた時にも、入居者の異変に初めに気が付くのはたいてい介護士でした。



そのため、介護士と常に情報交換を行う必要があります。



しかし、看護師と介護士は入居者を見る視点が違うため、時には意見が合わないこともあるでしょう。



そんな時でも介護士と上手にコミュニケーションが取れる人が、老人ホームの看護師として求められているのです。



まとめ







老人ホームでは治療が行われないため、老人ホームの看護師は楽な仕事だと思われることがあります。



しかし、実際には急変時には指揮を取る必要があるなど、責任が重いやりがいのある仕事と言えます。



1人の人生をゆっくり時間をかけて支えていきたいと思っている人は、ぜひ老人ホームの看護師として働く道も考えてみてください。