特別養護老人ホームの入所条件


介護といえども程度はいろいろあります。



「どの程度の状態から特別養護老人ホームに入れるの?」



「入所条件はどうやって決まっているの?」



「条件が揃ったところですんなり入れるの?」



そんな、介護従事者の気になるところを、本記事ではお話してまいります!







特別養護老人ホームの入所条件は、法律で決まっている!?




特別養護老人ホームの入所条件


特別養護老人ホームの入所条件というものは各自治体が決め、さらに入所の判断は各施設に委ねられています。



しかし、指針については国が法律で決めています



国が決めている指針の内容を読んでみましょう。



老人福祉法

第十一条 市町村は、必要に応じて、次の措置を採らなければならない。

二 六十五歳以上の者であつて、身体上又は精神上著しい障害があるために常時の介護を必要とし、かつ、居宅においてこれを受けることが困難なものが、やむを得ない事由により介護保険法に規定する地域密着型介護老人福祉施設又は介護老人福祉施設に入所することが著しく困難であると認めるときは、その者を当該市町村の設置する特別養護老人ホームに入所させ、又は当該市町村以外の者の設置する特別養護老人ホームに入所を委託すること。




これは、老人福祉法の第11条(平成30年3月時点)です。



特別養護老人ホームへの入所指針を「六十五歳以上の者であつて、身体上又は精神上著しい障害があるために常時の介護を必要とし、かつ、居宅においてこれを受けることが困難なものが、やむを得ない事由により介護保険法に規定する地域密着型介護老人福祉施設又は介護老人福祉施設に入所することが著しく困難であると認めるとき」と定めています。



この文を要素に分けると、



  1. 六十五歳以上
  2. 身体上又は精神上著しい障害がある
  3. 常時の介護を必要
  4. 居宅においてこれ(介護)を受けることが困難
  5. 介護保険法に規定する地域密着型介護老人福祉施設又は介護老人福祉施設に入所することが著しく困難



となり、これら5つの要素を兼ね備えている人が入所対象とわかります。



でもこれってすごく概念ですよね。



境界線の判断は誰がするの?



実は、上記のうち2、3、5を各自治体が判断し、4を施設が判断します。



なので、詳しい条件は自治体ごとに決まっています



その詳しい条件については、次の項でお話しますね。



特別養護老人ホームの入所条件の上で施設が決める入居順!








法律で定められた条件を元に、各自治体が特別養護老人ホームの入所条件を決める――までをお話しました。



では、どのような条件が実際に決められているのか、ある自治体を例に取って見てみましょう。



  • 要介護3~5と認定された者のうち、常時介護を必要とし、かつ居宅において介護を受けることが困難な者
  • 要介護1又は2と認定された者のうち、居宅において日常生活を営むことが困難なことについてやむを得ない事由(下記参照)がある者(特例入所申込対象者)
    1. 認知症高齢者の日常生活自立度がIIb以上であり、日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さが頻繁に見られる。
    2. 知的障害・精神障害等を伴い、日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さ等が頻繁に見られる。
    3. 家族等による深刻な虐待が疑われること等により、心身の安全・安心の確保が困難である。
    4. 単身世帯である、同居家族が高齢又は病弱である等により家族等による支援が期待できず、かつ、地域での介護サービスや生活支援の供給が不十分である。



平成27年4月から、原則として、特別養護老人ホームの入所には要介護3以上が必要となっています。



しかし、要介護1、2であっても、上記の要件を満たせば「特例入所」することができます



ただ、無事条件を満たしたところで立ちはだかるのは「待機者数」。



そう、今の超・高齢化社会では、特別養護老人ホーム等老人施設での待機者数が問題となっております。



そんな状況を先見してか、平成12年の介護保険制度導入により特別養護老人ホームへの入所は「措置制度」から「契約制度」になり、結果的に、待ち人多い特別養護老人ホームの入所順は「申込順」から「優先度順」に変わりました。



でも、特別養護老人ホームに申し込む人は皆さん、どなたも深刻な状況なのです。



それならむしろ先着順のほうがよかったかもしれません。



なんて考えたところで、現状は「優先度順」です。



どうしても至急の入所が必要であることを自治体・施設双方に訴えると、もしかしたら優先度が高く評価されるかもしれません。



特別養護老人ホームのタイプと待機者数〜狙いめはどのタイプ?




特別養護老人ホームの入所条件


待機者数の多い特別養護老人ホームへの入所申し込みで、要介護者ならびに介護従事者は呼ばれるのをただ待つしかないのでしょうか。



そんなことはありません。



少しでも入所しやすいように、できることがあります。



それは、「狙い目を探すこと」。



ご存じの方も多いと思いますが、特別養護老人ホームには複数のタイプがあります。



特別養護老人ホームのタイプ
居室タイプ ユニット型個室
従来型個室
ユニット型準個室
従来型多床室
特養施設タイプ 地域密着型 サテライト型
単独型
地域サポート型
広域型



居室タイプはその名の通り、入所者の住む部屋のタイプです。



特養タイプ――特別養護施設タイプは、受け入れ範囲や規模等の運営の仕方によって分けられています。



それぞれ違いがありますので、サービス料にも内容にも違いがあります。



そこで、目をつけたらいいのは「受け入れ数の非常に多いところ」もしくは「人気の少ないところ」です。



「地域密着型」でも高齢者の数が少なければ空きベッドがあります。



「広域型」は地域の区分なく広く受け入れるため、床数を多く設けていることが多いです。



つまり、近くで入所が待機状態となり、どうしても待てないならば、隣の県、そのまた隣の県……と施設を探すことができるのです。



また「地域サポート型」は、サポート地域内ならば在宅の要介護者を24時間見守ってくれます。



入所が難しいのであれば、見守りサービスに申し込むのも十分に有効ですよね。



ちなみにわたしの住んでいる地域では、高齢者が次々亡くなっているためか、割と空きベッドがあります。



近くに空きがなくても諦めずに探せば、すぐに入れる可能性は十分にあります!



まとめ




特別養護老人ホームへの入所は、考え始める時点ですでに「介護する側」が限界に来ていることが多いかと思います。



自治体の保険課職員やケアマネージャーに相談して、早めに動くといいかもしれません。



「介護する側」が倒れてからでは遅いので……いや、でも、そのほうが優先度が上がりますね……。



「介護される側」が楽しく暮らせて、「介護する側」が安心できる、そんなwin-winの関係を築けたら最良ですね。