在宅介護は大変です。
認知症が進行し、徘徊が始まって昼夜目を離せなくなったら、介護を担う人は気の休まる時がありません。
要介護者の近隣に住んでいないため介護がしづらい――という状況もよくあります。
そんなときに利用したいのが特別養護老人ホームですよね。
でも、「毎月の支払はいくらになるのだろう。払えるかな?」と不安を感じることと思います。
事実、高いところはめちゃくちゃ高いです。
月云十万行きます。
でもそうじゃないところも多いです。
それに、ありがたいことに、どの自治体も要介護者には補助制度を設けています。
福祉は国ではなく各自治体の管轄なため、どの自治体に所属するかで差が出ることがありますけれども。
ともかく、どうしても介護は大変ですから、どんな制度があるのかを知って、うまく利用して、被介護者と介護者の双方ともに明るい生活を送りたいですね。
そこで、本記事では特別養護老人ホーム入居でかかる費用の例と、ぜひ利用したい補助制度について述べていきます。
特別養護老人ホームの費用の内訳を知ろう!
特別養護老人ホームの費用の内訳は、結構複雑です。
なんて聞いたら身構えてしまうかもしれませんね(^^;
慣れてしまえば「まあ、当然の内容か」と思うのですが、わたし自身、はじめは「細かいな」と少し困惑した経験があります。
とりあえず肩の力を抜いて、ざっと費用の内訳の例をご覧ください。
- 基本サービス利用料(1割または2割負担)
- 居住費(全額負担)
- 食費(全額負担)
- 加算金(1割または2割負担)
- 初期加算(入所後30日まで)
- 個別機能訓練加算
- 栄養マネジメント加算
- 看護体制加算
- サービス提供体制強化加算
- 夜間職員配置加算
- 外泊時加算
- 療養食加算
- 経口移行加算
- 経口維持加算
- 看取り介護加算
- 介護職員処遇改善加算
大体こんな感じで、呼び名を少し変えて内訳が設定されていることが多いです。
加算金に関しては、必要に応じて加算されるものと、必ず加算されるもの(太字)があります。
「細かいなぁ」と気が滅入りそうですが、よくよく考えると至極真っ当なものばかり。
ひとまず「特別養護老人ホームでは、このように考えて料金設定しているのだなぁ」というくらいの認識でいるといいと思います。
特別養護老人ホームの費用は?自己負担額は要介護度で変わる!
細かいことがなんとなくわかったところで、気になるのはやっぱり実際に支払う金額!
というわけで、以下に金額の例をあげます。
要介護1 | 要介護2 | 要介護3 | 要介護4 | 要介護5 | |
---|---|---|---|---|---|
基本サービス利用料 (1割負担) |
\ 625 | \ 691 | \ 762 | \ 828 | \ 894 |
居住費 (全額負担) |
\ 1,970 | ||||
食費 (全額負担) |
\ 1,380 | ||||
自己負担合計/日 | \ 3,975 | \ 4,041 | \ 4,112 | \ 4,178 | \ 4,244 |
自己負担合計/月 | \ 119,250 | \ 121.230 | \ 123,360 | \ 125,340 | \ 127,320 |
要介護1 | 要介護2 | 要介護3 | 要介護4 | 要介護5 | |
---|---|---|---|---|---|
基本サービス利用料 (1割負担) |
\ 620 | \ 687 | \ 755 | \ 822 | \ 887 |
居住費 (全額負担) |
\ 1,150 | ||||
食費 (全額負担) |
\ 1,380 | ||||
自己負担合計/日 | \ 3,150 | \ 3,217 | \ 3,285 | \ 3,352 | \ 3,417 |
自己負担合計/月 | \ 94,500 | \ 96,510 | \ 98,550 | \ 100,560 | \ 102,510 |
要介護1 | 要介護2 | 要介護3 | 要介護4 | 要介護5 | |
---|---|---|---|---|---|
基本サービス利用料 (1割負担) |
\ 620 | \ 687 | \ 755 | \ 822 | \ 887 |
居住費 (全額負担) |
\ 370 | ||||
食費 (全額負担) |
\ 1,380 | ||||
自己負担合計/日 | \ 2,370 | \ 2,437 | \ 2,505 | \ 2,572 | \ 2,637 |
自己負担合計/月 | \ 71,100 | \ 73,110 | \ 75,150 | \ 77,160 | \ 79,110 |
特別養護老人ホームには個室と多床室があります。
さらに、個室には「ユニット型個室」と「従来型個室」が、多床室には「ユニット型個室的多床室」と「従来型多床室」があります。
上記3例は上から順にユニット型個室、従来型個室、従来型多床室の費用になっています。
ご覧の通り、個室と多床室では月の費用に数万円の差が。
病院に入院するときもそうですよね。
個室より相部屋のほうが費用が安く済みます。
そして、要介護度が高いほど介護サービス利用費が上がります。
ところで、上記の例は介護サービスの自己負担が1割の金額なのですが、皆が皆1割負担というわけではありません。
所得の多い方は自己負担額が「2割」になる場合もあります。
どういう条件の人が2割負担になるのかというと、
- 本人の年間合計所得金額が160万円以上の人
- 本人の年金収入+その他の合計所得金額が280万円以上の人
- 本人の世帯内で他に第1号被保険者がいる場合、その人の年金収入+その他の合計所得金額まで合わせた総額が346万円以上の人
このように決められています。
ちなみに、2割負担が生まれたのは2015年から。
高齢化社会で介護費用が膨らみ上がっていますので、負担増もしかたがないところかなぁ、と思いますが、なかなかつらいところではあります。
年金暮らし、低所得――費用を抑える制度を知っ得!
今時、年金が少ない人はザラにいます。
今の30代以降なんて、自分が受け取れる年金は絶望的……。
介護者自身の年金で賄えない場合、支払いはかなりきついですよね。
正直、涙が出そうになりますよね。
自治体もその実情を知ってはいるのでしょう。
低所得者(特に市民税非課税の方)向けに助成制度を設けていたりします。
その名も
「特定入所者介護サービス費」
その内容とは、「低所得者の所得に応じて居住費・食費の上限(限度額)を設定し、それを超える利用者負担はなくなる」というもの。
前出の特定養護老人ホームの費用例をご覧いただけるとお気づきになると思います。
入所で係る費用のほとんどは、居住費と食費なんです。
その2つに上限を設けてくれるのが、この制度。
とってもありがたい制度なのですが、残念なのは、申請しないと受けられないことです。
申請すると「介護保険負担額認定証」が交付されます。
施設にこの認定証を提示して初めて、居住費と食費が減免されます。
ぜひ、忘れずに申請してくださいね。
まとめ
特別養護老人ホームの入居に係る費用について、大体おわかりになったでしょうか。
費用に大きく関わるのは「要介護度」と「部屋の種類」。
そして低所得者向けには、食費と居住費を減免してくれる制度があります。
これらの大きな2つのポイントをおさえて、サービス利用を施設にご相談くださいね。