ここ数年、葬儀ができずに死体遺棄で逮捕されてしまう人たちのニュースが後を絶ちません。



大切な家族、最後のお別れのための葬儀をしたくても、葬儀の全国平均額が200万円と聞くと途方にくれてしまいますよね。



また、200万円かからなかったとしても日々の暮らしで精一杯の人が、まとまった費用がかかる葬儀費を払うことができるでしょうか。



今回は葬儀を無料で行う方法、葬儀費用が足りないときの対処法について解説します。



私たちの人生、今後何が起きるか分かりません。



突然、大切な人が亡くなってしまったときに、遺体を遺棄して悲しい結末にならないためにも葬儀費が足りない時の対処法を知っておきましょう。







葬儀が無料でできる!生活保護者への給付金とは?







格差社会が進んでいると言われている日本。



生活保護者は年々増加しており、厚生労働省の最新の調査によると平成29年2月時点で2,141,881人と言われています。



生活保護者は自治体からの給付金があるといっても、必要最低限の費用しかもらえないので日々の生活で精一杯。



年齢が若く健康であれば、生活保護から脱するのも簡単ですが大病を患っていたり、高齢者だったりするとなかなか生活保護から脱することは難しいのが現状です。



そんな厳しい状況の中、突然大切な家族が亡くなったら葬儀費はどうすればいいのでしょうか。



冒頭で述べたように、大切な家族の亡骸をどうすることもできずに死体遺棄で逮捕されるしか方法はないのでしょうか。



そんなことはありません。



生活保護者の身内が亡くなった際、葬儀費は手続きによって市町村から給付金が支払われます。



葬儀の給付金は市町村によって異なりますが、全国平均で



・大人 206,000円以内
・小人 164,000円以内



と定められてます。



生活保護者はこの金額内で葬儀を行い、無料で家族との最後の別れをすることができるのです。



そして、この給付金は生活保護者の家族が亡くなった場合に限定されるわけではありません。



身寄りがない生活保護者、本人が亡くなった際の葬儀にもこの給付金を利用することができます。



私が以前老人ホームに勤めていた際、生活保護で身寄りがない人の看取りを行った経験があります。



その際に、この給付金の申請を行い故人の亡骸を弔ったことがあります。



施設から火葬場に行く前に老人ホームで一緒に過ごしたご利用者様やスタッフでお別れを行い、故人を見送りました。



このように生活保護者だからと言って家族や本人の亡骸をそのままにするようなことはせず、最寄りの市町村役場に相談し、給付金の申請を行いましょう。



給付金の申請は必ず葬儀前に行う




当たり前のことですが、生活保護者の葬儀の給付金申請は葬儀前に行いましょう。



これはあくまでも葬儀費用支払えない場合における給付金になります。



万が一、葬儀後に申請しても給付金は受け取れませんのでご注意ください。



また、生活保護者の葬儀給付金の金額からも分かりますが、家族や本人の葬儀の種類は火葬・直葬に限られます



これは、生活保護法の第十八条でも定められており、給付金でもらった費用で行える葬儀は必要最低限の内容でしかできないようになっているのです。







葬儀は無料でできないけど申請すれば各保険機関から補助金がもらえる







前章で述べたように、葬儀の給付金がもらえるのは生活保護者のみとなっています。



そのため、生活保護者でない人は無料で葬儀を行うことができません。



ですが、生活保護の申請はしていないけれども日々の生活に追われてまとまったお金が捻出できず葬儀費用が足りないこともあるでしょう。



そんな時は故人の加入している保険機関から補助金の申請をしましょう。



葬儀後にこの申請を行うと保険機関の定めた額の補助金を受け取ることができます。



保険機関からもらえる補助金を以下にまとめました。


【国民健康保険加入者】
葬祭費という補助金が受け取れる。葬祭費の支給額は故人によって異なるが、30,000~70,000円となる、

【社会保険加入者】
埋葬費と呼ばれる補助金が受け取れる。埋葬費の支給額は上限50,000円と定められている。

【国家公務員共済組合加入者】
葬祭費と呼ばれる補助金が受け取れる。葬祭費の支給額は加入している組合によって異なるが、100,000円~270,000円程度になる。



これらの補助金申請の受け取りに必要な資料や申請方法の詳しい内容については、以下の記事をご覧ください。



葬儀には補助金が出る!保険加入者も生活保護者も申請を忘れずに




申請には期限があるので要注意




各保険機関からの葬祭費や埋葬費は故人の家族が申請しなければ受け取ることができません。



また、補助金の申請には期限があり、故人が亡くなって2年以内と期限が定められています。



2年ならば時間もあるし、後からゆっくり申請すればいいかな…と思っている方は要注意。



家族が亡くなると相続やその他の手続などに追われて補助金の申請を忘れてしまいますよ。



これは私の経験でもあるのですが、曾祖母が亡くなった際、この補助金の申請を家族みんなが忘れており、期限ギリギリになって慌てて申請をしたことがあります。



たまたま息子である祖父が知人からその話を聞いて発覚したのですが、もしこの出来事がなければ申請期限切れで補助金をもらうことはできなかったでしょう。



また、ギリギリになって申請すると慌ててしまい、書類に不備が出てしまうことも多々あります。



そうならないためにも補助金の申請は葬儀後すぐに行うようにすると良いでしょう。



葬儀が無料でできないけど費用が足りない!どこに相談すればいい?







生活保護者ではないけれども、生活が苦しく家族が亡くなっても、直葬・火葬の費用すら払うことが難しい…



そんな窮地に立たされてしまっている人も中にはいるでしょう。



でも、故人をそのままにしておくわけにもいきませんよね。



この場合、どうすればいいのでしょうか。



葬儀費用に困った場合は、まずは市町村役場に相談してみましょう。



自治体で利用できる制度などを紹介してくれるかもしれません。



また、近年では火葬・直葬プランを格安で行っている葬儀社もあります。



葬儀社を調べて費用の安いところに費用の支払いについて相談するとアドバイスをもらえることも。



葬儀費用は原則現金一括払いですが、近年ではクレジットカードや葬儀ローンなどを組んで後払いができる葬儀社も増えてきました。



また、葬儀社によっては、月々数千円の分割払いにも対応しているところもありますので葬儀費用が足りない場合は葬儀社を安易に決めず、様々な葬儀社を当たってみましょう。



葬儀費用が足りないなら、身の丈に合った葬儀を選ぶ




大切な家族の最後のお別れのために盛大な葬儀を開きたいと思っている方も中にはいらっしゃるのではないでしょうか。



ですが、自分の生活がままらないのに家族のために大きな葬儀を行うと今後の生活に大きな影響を及ぼします。



葬儀社の中には、悪い業者もあり遺族に葬儀ローンを組ませて高い葬儀プランを提案することも。



故人はあなたの生活が苦しくなるような葬儀は望んでいないはず。



無理をしてでも家族を盛大に送り出したい気持ちも理解できますが、葬儀プランは身の丈に合ったものを選ぶようにしましょう。