老人ホームの恋愛事情!トラブル?恋愛禁止はある?


「歳を取ったって恋をしたい」



恋をすると元気が出ますものね。



特に、伴侶に先立たれてしまった方、元から独りを貫いてこられた方、人生の末期(まつご)を彩る華があってもいいのではないかと、新たな出会いに心ときめいてしまうのかもしれません。



だって、相手は同じ屋根の下。



そうです。



状況は「同居中」から始まるのです。



でも、他の人も同居している……。



老人ホームの中での恋愛って、どうなのでしょうね?



学校内のようにはいかないでしょう。



本記事では、老人ホームで恋愛が生まれるのかどうか、もし恋愛が生まれたらどうなるのか、施設側の対応はどうなのかを実例を含めてお話してまいります。







老人ホームでも恋愛はある?〜恋がもたらす効能〜




老人ホームの恋愛事情!トラブル?恋愛禁止はある?


老人ホームの中でも恋愛はあります。



職員同士の恋愛?



まあ、それもあるかもしれません。



でもここで扱うのは、利用者同士の恋愛です。



歳を取っても、色恋となると目を輝かせる人は少なくありません。



というより、むしろ感情が激しくなるかもしれません。



わたしの祖父も、要介護になるまでおくびにも出さなかった「女性への想い」を、老人ホーム入所後は露骨に出しておりました。



実は、お年寄り、ことさら要介護となった方の恋愛には良い効能があります。



たとえば、



  • 身だしなみに気を遣うようになる(清潔になる)
  • 認知症が改善する(脳が活性化)
  • 老人ホームでの生活が楽しくなる(前向きになる)



ということがあります。



そしてこれらは、福祉の上で重要な「QOL」と「ADL」――「生活の質」と「日常生活動作」を向上させます。



家族と同居もしくは独り暮らしをしていたときより、生き生きとしている!なんてことが起きるのです。



これは本人にとっても、離れて暮らしている家族にとっても、施設にとっても嬉しいことですよね。



老人ホームでの恋愛トラブル?!入所前に知っておきたいこと




老人ホームの恋愛事情!トラブル?恋愛禁止はある?


恋愛といえば、万事が春のような朗らか陽気なわけではありません。



それは歳を取っても変わらず、場合によっては悲惨な結末になることもあります。



では、どのようなトラブルが実際にあったか見ていきましょう。



  1. ひとりの女性を複数の男性が取り合い。
  2. 片思いによるストーカー化。
  3. 別れ話で逆上し、死傷事件。
  4. 振られた人の「生活の質」と「日常生活動作」が劇的に低下。
  5. 入所者同士の結婚で遺産問題。



1つ目は、ひとりの女性入所者を複数の男性入所者が取り合うトラブル。



いわゆる三角関係などです。



ライバル同士が険悪になると、ホーム内の雰囲気も悪くなります。



また、ライバルに暴行を働いて事件化するということもあります。



2つ目は、恋慕を募らせるあまりにストーカー行為に及ぶトラブル。



入所者同士なのですから、同じ建物に住んでいるわけです。



その上でストーカーというのは、「いつでもそばにいる」に始まり、「夜間、相手の居室に無断で入る」まであります。



されるほうにとったら不気味で怖いですよね。



逃げ場がないというのも恐怖を募らせます。



3つ目は、刑事事件となった例です。



ある施設では、別れ話を持ちだした女性入居差を、男性入所者が刃物で刺しました。



また、別の施設では――これは別れ話ではありませんが――男性入所者を交際相手の女性入所者が、離れ離れになることを勝手に憂いて絞殺しました。



4つ目は、無事に交際を破断できたあとのトラブル。



振られたほうはショックのあまり、部屋に引きこもったり、生きる意欲が低下するというものです。



そして最後、5つ目は、入所者の家族が直面するトラブル。



既婚者で入所者となると、成人済みの子供がいる場合が多いです。



そこで突如、入所中の親が結婚!となると、発生するのは「遺産問題」。



子供から見れば、降って湧いた義理の親が、実親の遺産の半分を取得する権利を持つのです。



「受け入れがたい」と思う人は、少なくないのではないでしょうか。



いいところがいっぱいある老人ホーム内恋愛ですが、問題も山積していますね。







老人ホームでの恋愛対策?施設と家族と当人、それぞれの思い




いいところも悪いところも併せ持つ恋愛。



老人ホームという施設の中で、恋愛は職員からどう取り扱われているのでしょう?



老人ホームに入ってもらって「やれやれ」と胸をなでおろしていた家族が、唐突に「付き合っている人がいる」なんて言われたら、どんな気持ちを抱くでしょう?



そして交際する当人は、大勢と共同生活を営む中で愛を育むことを、どう考えているのでしょうか。



まず施設側は、入所者同士の恋愛を温かく見守っていることが多いです。



ですが、中には「恋愛禁止」を決めている施設もあります。



穏やかに余生を過ごす施設で、トラブルの元になりやすい恋愛沙汰を避ける、という姿勢です。



子供の遊ぶ公園から危険性のある遊具が次々と撤去されていくように、老人ホーム内で「何度もトラブルが起きたもの」は禁止になっていく傾向があります。



しかたのないことですよね。



入所者の安全が第一です。



それに、入所者の家族は、恋愛禁止になっているほうが安心します。



一方で、恋に落ちた入所者は、その恋心を意図的に消すことはできません。



恋心ゆえに人生が楽しくなり、意欲が湧き、心身の状態がよくなります。



もしもその恋がうまく行かなければ、心身が衰弱していくことも……。



「こんなことになるなら、いっそ恋愛禁止にしていてくれたらよかった」と思う瞬間もあるかもしれません。



度が過ぎない、トラブルにならない恋愛だけ、なんてことができたら理想的ですね。



まとめ




いくつになっても抱く恋心。



恋愛は決して悪いものではありません。



大切なのは節度。



節度を持って、トラブルの起きない恋愛を楽しんでほしいですよね。



入所前に、「介護する側」と「介護される側」で話し合っておくのはいかがでしょうか。



また、老人ホームにもいろいろ種類がありますので、下記の記事などご覧になってご検討くださいね。



老人ホームの種類はいくつある?種類と特徴を徹底解説!